シャロームの漁村に行くと、漁師のおじさんが小舟でバショウカジキを獲ってきたところでした。
この小舟でこの魚を獲るって、いったいどうやってるんでしょうか?

使っているのはなんとただの釣り針と釣り糸。釣り竿さえ使わないシンプルさです。
針の近くの部分は糸ではなく金属製で、食いちぎられないようになっています。
何で作ってるのかと思ってよく見たら、これ、ギターの弦ですよ!

餌に使っているのは小ぶりの魚たち。これを釣ってきたのはこの少年だそうです。
自分が釣ってきた魚で大物が釣れて、少年も鼻高々です。
本来なら中学校1年生くらいの歳で、「学校に行くベき」なのかもしれませんが、
こういう姿を見ると、「がんばって早く一人前の漁師になれよ!」って思っちゃうのは私だけでしょうか?

少年が小魚を釣るのに使った釣り針を作ったのは、前にもご紹介したこのおじいさん。
いつも自作のギターを弾いてご機嫌な彼ですが、手先の器用さは村でも評判で、
彼の作る仕掛け針だと、まさに「入れ食い」なんだそうで。
ちなみに彼のギターの弦は釣り糸です。(笑)

バショウカジキは非常に美味なので、1kgにつき200ペソの値で売れるそうで、
このサイズなら15kg以上はあるということなので、3000ペソの収入になります。
学年末で学校に払わなければならないお金も多い時期なので、これは本当に大きいです。

老人が作った仕掛けで少年が小魚を釣り、その小魚で大人がこんな大物を釣ってくる。
ここでは老人は一方的に「介護」される立場ではなく、こどもも一方的に「教育」される立場ではありません。
それぞれが協力し合うことで、生活が営まれているのです。
何か、「先進国」と呼ばれる国が無くしてしまったものがここにはある気がします。