これは、2013年のクリスマスに、ミンダナオ島の片隅でおきた奇跡の話です。
ちょっと長いですが、読んで損はないと思います。そのくらいすごい話です。ではどうぞ!
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こどもたちを親戚の家に送り届け、ハウスオブジョイに戻ってきて一休みしていた私は、
「クリスチャンのお母さんって人が来てるよ」と言われて起こされました。
ハウスオブジョイにはクリスチャンという名前の子が一人いますが、
彼は幼いころに両親をなくしたはずで、里帰り先もないので、
こどもの頃に面倒をみてくれていた近所のおばさんの家で年末年始を送ることになっており、
マティという町まで先日連れて行ったばかりです。
そのクリスチャンなわけはないよなあ…、マティのおばさんが来たのかな?
それとも、他に誰かクリスチャンっていたっけ?よくある名前だからなあ…
などと考えながら行ってみると、
そこには、見知らぬ女性が何人ものこどもを連れて立っていました。
その顔を見た瞬間に、私は彼女が、クリスチャンの実の母親であると確信しました。
もう、疑いようもないほどに、そっくりだったんです!
連れているこどもにも、クリスチャンと似た顔立ちの子が混じっています。
そう、彼には弟や妹もいたんです!!
どうして生き別れになったのか、今までどこで暮らしていたのか、
今はどうやって暮らしているのかなどを聞いてから、
「どうしてここにクリスチャンがいると分かったのか」を尋ねると、彼女はこう答えました。
「わたしの姪っ子に聞いたの」
姪って誰のこと?とさらに聞いてみると、彼女は言いました。
「ほら、最近までここに住んでた女の子いるでしょ?今はバナイバナイに住んでる…」
えええええええ!!それってまさか、ロサガマイのこと???
私は確認のために部屋に駆け戻り、写真をかき集めて彼女に見せました。
「ひょっとしてそれってこの子?」
「そうそう、これ、私の姉さんの娘なのよ。実家に戻ってるって聞いたから、
クリスマスに会いに行ったの。で、この子にハウスオブジョイのことを聞いて。
話の中に出てくるクリスチャンって子がなんか、私の子のような気がしたから来てみたの。」
…ということは……ええええ!!
クリスチャンとロサガマイは、いとこ同士だったんです!!!
なんという衝撃の事実!!私は心が震えました。今でも文章を書きながら震えてます。
このブログをずっと読んでくれている方や、ハウスオブジョイに来たことのある方は、
知っていると思います。この二人が、単なる「施設の仲間」以上の絆で結ばれていたことを。
4年前の3月に入ってきたロサガマイと、同じく4年前の7月に入ってきたクリスチャンは、
すぐにまるで、姉弟のように仲良くなりました。
二人とも施設内に兄弟姉妹がいないことも、二人を近づけたのかもしれません。
二人の仲の良さを示すエピソードはたくさんあります。
一緒にジャグリングやサーカス技を練習したこと。
自分の誕生日を知らなかったクリスチャンに、
「誕生日を作っちゃおう!どの日がいい?」と持ちかけたら、
「ロサガマイの隣の日がいい、そしたら忘れないから」と答えたこと。
二人で家出して、バスをヒッチハイクして隣町まで行ってしまって大騒動になったこと。
学校の陸上大会で、二人揃って優勝して、賞品に米をもらってスタッフに大喝采されたこと…。
4年間、二人は、こんなにも仲良く一緒に暮らしながら、
いとこ同士であることをお互いに知らなかったんです。
「実は兄弟でした」とか「実は親戚でした」なんていうのは、
小説や漫画では、あまりにも使い古された、逆に興ざめするようなストーリーですが、
まさか、それがこんなに身近で起こるとは!クリスマス、おそるべしです。
さあ、こうなったらなんとしても、この二人を再会させてあげたいですね。
ロサガマイのお父さん、クリスチャンのお母さん、
クリスチャンをかわいがってくれているマティのおばさん、
そしてロサガマイとクリスチャン。
全員が幸せになるような物語が、ここから始まることを、私は強く祈ります。