ダバオに日本人が運営しているナカシンという会社があります。 食品加工を業務とする、従業員300人の大きな会社です。
主にミンダナオ島のマンゴーやパイナップルを加工して、日本に出荷しています。
コンビニなどで売っているデザートにも、ここで作られているフルーツがかなり使われているとのことです。
そこで中心となって働いているケイスケさんが、HOJまで来てくれました。
HOJとナカシンで連帯して、貧困の連鎖を断ち切るためにできることをしよう!という話をするためです。
10年以上ダバオで働いてきた彼は、多くの「貧富の差」を目の当たりにしてきました。
紛争地域とよばれている場所まで取引に行くくらいですから、私よりもずっと過酷な状況を見てきているはずです。
そんな彼は「ちゃんと企業をやっていくことこそが貧困をなくしていくことにつながる!」と考えました。
ここで言う「ちゃんと」というのは「搾取ではない適正な価格で作物を買う」ことと、「搾取ではない適正な賃金で人を雇う」ことです。
そして、そういう発想の行きついた先として、「孤児院出身者を雇用する枠をつくる」というプロジェクトが持ち上がりました。
HOJを卒業しても全員がすぐにいい仕事にありつけるわけではないので、これは本当にありがたいことです!
興味のある子を募ったところ、今年卒業したばかりのジョネルと、溶接の資格を取って建設現場で働いていたウィリアムが手を挙げました。
ダバオ市の少し北にある工場は、フィリピンにあるとは思えないくらい清潔感にあふれていました。
「ゴミ箱や排水溝を隠してしまうと、汚れていることも気づかないから、どんどん汚れていくんです。
だからウチではわざと目につくところにゴミ箱を設置して、排水溝にもフタをしないんです」との説明に
ウィリアムもジョネルも心の底から感心したようです。 食品を扱う工場ですから、清潔はなによりも大事です。
作業場に入るときには服も着替えて帽子とマスクを着用して完全装備です。
しかも作業場は「冷蔵庫」や「冷凍庫」なので、めちゃくちゃ寒いんですね。
そこで何時間も立って作業をするわけですから、大変といえばかなり大変な仕事です。
見学に行く前は「やったー!これで仕事が見つかった!」と浮かれていたジョネルの顔が真剣になっていきます。
また、これだけ大きな工場ですから、機械や設備の点検と整備、修理は欠かせません。
溶接の資格を持ったウィリアムは、その整備班の方で活躍できるそうです。
本当にうまくいくようであれば、これをモデルケースとして、他の企業や施設もどんどん巻き込んでいって、
「孤児院出身者の就職先」がたくさんあるような形をつくっていきたいな、と思っています。
まだジョネルとウィリアムの意思は確定していませんが、将来について真剣に考える、とてもいい機会を与えてくれたと思います。
ケイスケさん、本当にありがとうございました!今後ともよろしくお願いします!