さあ、新学期が近づいてきました。それに向けて、奨学生の受付も佳境を迎えています。
HOJでは、親と暮らせなくなった子たちを預かり、育てるほかに、
家族で暮らすことはできるけど就学は難しい…という子たちの支援もしているんです。
1999年に「カシンカシン奨学金」として始めたこのプロジェクトは、
2012年から日本のロックバンド「宇宙戦隊NOIZ」のみなさんの支援で大幅に規模を広げ、
それ以来、「NOIZ奨学金」と名前を変えて続けています。
2016年度は小学生20人、中高生50人、大学生10人を学校に行かせることができました。

さて、今年はこの奨学生制度に、ものすごくたくさんの子たちが申し込みに来ています。
ハイスクールが4年制だったのが、6年制になったので、17歳、18歳くらいの「勉強を続けたい!」と言う子が、
こぞって集まってきているんです。

兄弟が7人とか8人とかいる家庭が当たり前なので、末っ子がティーンエイジャーだと、
親がもう高齢で収入がほとんどない、というケースがすごく多いんですよね。
上の兄弟たちにはもうそれぞれ家庭があるので、弟妹たちの就学支援までは手が回らない…というわけです。
もうひとつ、申し込みが多い理由がありまして、それがこの写真の一番右に写っている、ジュン・モラタ先生の尽力です。

実は彼自身がカシンカシン奨学金でハイスクールに通っていたんですよ。
それがその後、大学まで出て教師になり、サンイシドロの町はずれの山奥の小学校で先生をやっているんです。
ちょうど彼は6年生の担任になり、自分の教え子たちのほとんどが小学校を卒業後、ハイスクール進学をあきらめていることを知って
「あきらめないで!HOJに行ってごらん!」と声かけしてくれたんですね。
おかげでHOJには彼の学校の卒業生が次々と来るようになりまして。いやあ、素晴らしいですね!
奨学金制度というのは、種をまくことに似ていて、実際に芽が出るか、花が咲くか、実がなるかは、何年もたたないと分からないんですが、
こんなに素敵な実り方をしたとなったら、わざわざ1時間以上かけて山から来てくれた子たちを追い返すわけにはいきません。
そんなわけで、今年はハイスクールの枠を大幅に拡充することにしました。一気に倍の100人です!
買ってきた文房具も大量になり、オフィスに入りきらないほどです。

教育機会が奪われがちな、イスラムの子たちへの支援も、引き続き続けていきたいと思っています。

戒厳令が敷かれているミンダナオ島、ここは平和ですが、激戦地ではイスラム過激派を名乗るテロ集団の中に、
ティーンエイジャーとみられる「少年兵」が目撃されているそうです。
微力ですが、そんなことを防ぐためにも、NOIZ奨学金プロジェクト、今後も頑張りたいと思います!