学生たちを連れて大学の授業を見学させてもらいに行きました。
ちょうど教育学部同士なので、良い交流になるかと思ったら、
ひたすら先生がしゃべって説明するだけの授業展開で、ちょっと学生たちも飽き気味な様子。
「第二言語習得における『絵教材』『文字と単語の連動』『読み聞かせ』などの重要性」がテーマで
結構重要なことを先生はしゃべってるんですが、いかんせん抽象度の高い話で、
日本の学生は英語が理解できていないし、現地の学生も文字面だけしか理解できていない表情です。
私の言語教師の虫がうずきだし、これはもったいない、と思ったので、
授業がひと段落して「さてみんなで写真撮影会でもしようか」となったところで15分ほど時間をもらいました。
「今の授業でみなさんが学んだ方法を使って、今この教室に来ている日本人の学生にビサイヤ語を教えてみましょう。
制限時間は10分!こっちのグループは野菜の名前を10個。こっちのグループは動物の名前を10個。
10分後にテストします。よーい、スタート!」
それまで眠そうな雰囲気だった教室が一気に活気づき、1人の日本人学生に対し、4~5人の地元学生がついて、
それぞれビサイヤ語の単語を教え始めました。
すぐに英語とビサイヤ語の対応表を作って「文字」で教えようとする学生。
スマホで写真やイラストを見つけてきて「絵」で教えようとする学生。
身振りや手振りを加えて「身体」で教えようとする学生。
そうです、これこそが「第二言語習得におけるナントカカントカの重要性」ですよ。
もちろん、この急展開の10分で10個も覚えられるわけはないので、10分後のテストでは
みんな4つか5つくらいしか覚えられてませんでしたが、
「えーと、トマトはなんだっけ…わたしの好きなやつ、えーと、カマ、カマテス…?」
みたいに「エピソード記憶」と紐づけて思い出そうとしたりする姿も見受けられました。
おそらく大学の授業で教授法を習わなくても、人に言語を教えようと思ったら、
多くの人が絵や表や身振りやお話を使うでしょう。
でも、それをなんとなくやるのと、それを「理論的に」知っていて、
使うか使わないかを検討した上で使うのとでは、効果に雲泥の差が出ます。
もっとえげつない言い方をすれば、そうやって説明できないと、絵教材やIT教材を買う予算を引っ張ってこれません。
教師を目指すみなさん、しっかり勉強してくださいね!(笑)