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愛という言葉は便利な反面、ある種の誤解を引き起こす事がたびたびあるようです。
でも愛(愛が不適当なら人助けでもいいけど)っていう事の本質はやっかいではあるけれど、そう難しいものではない、というのが今回の話の趣旨です。
HOJのスカラーで、ナナイ・ノルマの娘であるところのダイダイという女の子がいます。年は18歳。
彼女は高校を無事卒業したのですが、なかなか就職が決まらないという日々を過ごしていました。
田舎の娘にありがちな都会志向というか、ダバオでの就職を希望していて、6月のある日からダバオで、烏山さんの家で下宿しながら就職活動に入りました。
しかし彼女の就職活動は、つまらない失敗で頓挫する事になりました。
ある日、たまたま烏山さんの家にダイダイ一人が取り残される、つまり留守番をする状況になり、彼女はそれが悲しくてずっと部屋で泣いていたそうです。
それを見たアイダさんが「たった1日留守番をする位の事で泣くんだったら、ダバオで一人で就職するなんて出来ない!」と彼女に怒り、結局彼女は家に帰る事になりました。
日本人と比較して、フィリピン人はとても淋しがりです。特に女性は群れる傾向があったり、常に連絡を取っていないと不安に陥ったりしがちです(日本人よりもある意味ヒドい)。
ダイダイもその傾向が強かったようで。ただ、それにしても18歳にもなっていて、一人になるのが怖いというのには疑問符がつきます。都会で働く志向のある人間が一人に耐え切れず泣くなんて、矛盾していますね。
関係者全員が「ダイダイは情けない!」と一言で済ませてしまう中、僕は彼女がどうして泣いたのか、少し調べる事にしました。
調べてわかった事は、まず下宿先に誰かがいた場合、その人と話をする以外に、彼女は携帯電話を借りて、ダバオの友達とコミニュケーションをとっていたという事。
それ以前彼女は携帯電話を持っていたのだが、父親が酔っていた拍子に彼女の携帯電話を床に叩きつけて壊していた事、がわかりました。
つまり彼女が淋しくて泣いた原因は、誰もいなくなる事によって個人的なコミニュケーションツールが無くなる為だった、という事になります。
モチロン、まだ就職もしていない彼女にとって、携帯電話を買うなんてとても難しい話。彼女にとっては泣く事しか出来ない状態だったわけです。
ここまで話を聞いて、僕は決断しました(ちょっと大げさですが)。
僕が海外から帰って来て、数日。まだ実家でくすぶっていた彼女に、おみやげと称して僕が使っていた携帯電話をプレゼントしました。中古の携帯なら彼女もまだ貰いやすいだろうし、携帯があればおそらく子供のように泣くなんてみっともないマネはしなくてもいいだろう。丁度他に携帯が欲しかったのもあったし、彼女の人生の少し肩を押す程度の手伝いが出来れば・・・との思いがありました。
彼女は嬉しそうに何回も「ありがとう」の言葉を僕に向けてくれました。
さて、これで万事解決!ならここにわざわざ載せる程の話ではありません。
翌日から聞くに堪えない噂が次から次と耳に飛び込んできます。
「あのスケベな日本人(僕の事です)はダイダイと良い仲になる為に携帯をやったに違いない。」
「いや、ダイダイの方が携帯をねだって、あの日本人(僕の事です)が買ってやったんだ。」
「あいつらはいつ結婚をするのか?ひょっとして今年中じゃないのか?」
「何にしろ年齢差があるから、あのカップルはうまくいかない。」
まるでもう付き合っているかのような噂まで耳にする事になり、意外な反応にハッキリ言ってとまどいました。
僕が良かれとしてやった事は、他人から見れば不可解に見え、またそこにやっかみだとか、誤解が絡まりあって、噂が噂を呼んだような雰囲気がありました。
アテ・ジェーンは彼女と親友で、ジェーンと一度一緒に昼食を取った時に、ダイダイの話題になりました。
「貴方はダイダイの事をどう考えていますか?」
彼女は親友として僕の行動の在り方を問うたわけです。いたずらに噂の的になるのは彼女が可愛そうだと。それはジェーン自身も身にしみていたからこその問いだったかもしれません。
僕は答えました。
「彼女に携帯電話を渡したのは、それが彼女にとって必要だと思ったからで、それ以上の感情は全くありません。ダイダイは確かに可愛いし、性格も良い子だとは思うけど、彼女にはもっと世間を知るという経験が必要で、それを得るまでは彼女を大人の女性として見る事もなければ、例えば彼女として付き合うという選択も全く考えられません。今、いろんな噂が出てるけど、それは彼女がちゃんと働いていれば、時間が解決してくれる問題だと思うので、噂で困るという事はないと思います。」
その答えを聞いて、ジェーンも安心している様子でした。
僕の目論見通り、そのうち彼女に関する噂は収束していきました。そして、彼女も8月にダバオでベビーシッターの仕事が見つかり、何とか彼女は自立の道を歩んでいくかに見えました。
しかし彼女の父親が、彼女がいない淋しさを紛らす為に昼間から酒びたりになり、それでバイクを運転する日が続き、それを心配するナナイ・ノルマが彼の所業を泣いて止める事態になり、結局彼女はダバオの仕事を辞めて、実家に戻る事になってしまいました。
簡単に言えば、彼女は都会で自立の道を歩んでいたのに、彼女の父親は子供から自立出来ず、子供の足を引っ張ったという事になります。流石の僕も怒りに震え、自分のした事が間違っていたのか。それとも家族までも何とかしないと彼女の自立は助けられないのかと悩みもしました。
が、僕以上にアイダさんが問題の大きさにお怒りになられ、彼女の父親にコンコンと説教をしたそうです。
それが功を奏したのかはわかりませんが、今現在彼女はマテで掃除の仕事を見つけ、また何とか自立をしようと頑張っている最中です。
人に対する愛の形は無数だと思いますが、人を助けるなんて事は実はほんの小さな鍵一つで、いくらでも開けられるものなのかもしれません。
開いた後、失望したり思ったようにいかなかったりする事も多いもんですが、いつか、という希望があれば愛は繋がっていく。
この出来事以降そう思うようにしています。
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