今日のは隣町ルポンの専門学校まで、アナマリスとジョイジョイの入学手続きに行ってきました。
ここには「漁業」「美容」「ホテル&レストラン」「介護」などのコースがあり、
中でも「ホテル&レストラン」は都会や海外に出稼ぎに行けるチャンスも多いと人気です。

行って最初に知能テストみたいなものを受けさせられます。
社会常識・空間把握能力・語彙力・計算力・読解力などが試される約1時間ほどのテストです。
オンラインでやってその場で結果が出るって言うんですから、意外とハイテクですね。
ちなみに窓からのぞいた画面に写っていたのはこんな問題でした。みなさん答え分かりますか?(笑)

それからオフィスで入学手続きです。用紙に記入して提出して、お金を払うだけなんですが、
なんとこれに2時間以上かかりました。理由は「担当の人が昼食を食べに行って戻ってこないから」。
今、フィリピンの公的機関はすべて、大統領令により「窓口業務昼休みなし」のポリシーを掲げています。
この専門学校も公立なので、入学手続きに昼休みはないはずなんですが、
実際はオフィスが開いていて、建物の中で待てるというだけで、結局中で待たされます。(笑)
うーん、意味のない政策だなあ…。大統領は末端の現状がこうだってことを知ってるんでしょうか…。

まあ、そんな中でもようやく手続きを終え、女子寮を見せてもらいました。
8畳くらいの部屋が3つあって、各部屋に3つずつ2段ベッドがありました。定員18人ってことですね。
学校の敷地内にある上に、門限8時、男子立ち入り厳禁、ということなので、
妊娠で学校を途中で辞めてしまうリスクはかなり低くなりそうで安心です。

授業は6/8からスタートとのことです。サポートを名乗り出てくれたみなさん、本当にありがとうございます!
HOJの子たちの入学手続きも着々と進めていますが、これもまた結構大変です。
というのも、HOJに入っている子たちの多くは、出生証明書がなかったり、
あちこちの学校を転々としていて何年生まで終えたのかがはっきりしていなかったり、
親があまり読み書きできないせいか、各証明書ごとに名前のスペリングが違ったりしているために
同一人物である証明ができずに手続きできないケースが多いんです。

しかもこれまた厄介なことに、数年前まではソーシャルワーカーか肉親が学校に行けば
転校手続きは問題なくできたんですが、近年からは、以前通っていた学校から、次に通う学校へと、
学校同士で文書を交わして手続をするルールが施行され、
ソーシャルワーカーや肉親が行っても、手続ができなくなってしまったんです。
すべての学校がネットにつながっていて情報を共有しているんならこのシステムの改変は画期的なのかもしれませんが、
学校同士の情報共有方法は、いまだに「手書き文書の郵送」です。
パソコンがあってもネットがなかったり、プリンタのインクがない現場がほとんどだからです。
だから、ロウィーのように4つの学校を転々としてきた子などは、ただ待っていたら、半年たっても手続が終わりません。
しかも質の悪いコピー機で手書きの書類を複製したものを送り合うので、
このタイミングでも、生徒の名前のスペリングにズレが生じることがよくあります。
そうなるともう、メチャクチャです。結局転校できないなんてこともしょっちゅう起きています。
HOJの子たちは、書類作成や手続に関してはスペシャリストのソーシャルワーカーがいて、
いざとなれば車を出してこれまでに通った小学校をすべて回って、直談判しながら書類をチェックして
なんとか手続をすることも可能ですが、普通の貧しい家庭では、そんなことはまずできません。
フィリピンの田舎の子たちの就学率が低い原因のひとつは、このシステムのせいだと思います。
字が読めなかったり、事務手続きが満足にできない親のこどもが、そのせいで学校に通えない、というのは、
明らかに貧困の再生産を助長しています。許せません。
こういう田舎の事情を全く無視するように、教育制度はどんどん「先進国と同じシステム」になっています。
その流れの中で、うちのような小さなNGOにできることはささいなことかもしれませんが、
せめてもの抵抗として、こどもたちの就学支援を続けていきたいと思います!