バガンガの町でアビゲルたちをお母さんの元に帰して、私たちはそのまま北上しました。
次の目的地は「カティイル」という町です。
2012年に巨大な台風が直撃して大きな被害を受けた地域で、この台風については
このブログでも何度か紹介しています。http://jj.hoj.jp/hoj/2012/413
みなさんには「ルベンとレナンの出身の町」と言ったほうがしっくりくるでしょうか。
ちょうど1年前に2人を連れて来て、復興ぶりに驚き、家族との再会に感動した場所です。
http://jj.hoj.jp/hoj/2014/2292
実はその後、ルベンはHOJから家出してしまい、自力でこの町に戻ってきて
路上生活をしているところを、警察に保護されて、そのまま警官の家で保護観察となりました。
ルベンの今後をどうするのかを決めるのが、今回のカティイル訪問の目的の1つ目です。
福祉局で話した結果、ルベンの希望と、警官の方の好意で、
このまま警官が里親手続きをして、ルベンを引き取ってくれることになりました。
ルベンは一緒に出勤しては警察署の掃除や皿洗いなどの小間使いをしているそうで、
法律上、これがOKなのかどうかはグレーなところですが、本人も嬉しそうですし、
ここなら悪さをしでかして道を踏み外すこともないでしょうから、まずは一安心です!
それから、私たちはルベンとレナンの実家に向かいました。
去年の訪問のときに見かけた、たくさんの兄弟たちの様子がどうしても気になったからです。
結果は懸念通り。こどもたちは3食きちんと食べることも、学校に通うこともできずに暮らしていました。
去年聞き取り調査をしたときには母親は22歳で、8人のこどもがいるとのことでしたが、
福祉局と共同で追跡調査したところ、母親の年齢は現在26歳で、こどもは全部で11人いることが分かりました。
13歳で結婚してルベンを産み、それからほぼ毎年こどもを産んできたことになります…。
その場でお父さん、お母さん、お婆さんと、福祉局員を交えて話し合った結果、
安定収入もなく、どう考えても全員をきちんと育てていくことは不可能、ということで、
6歳、7歳、9歳の3人の男の子をHOJで引き取ることにしました。
3人ともその年齢だとは信じられないほど体が小さく、栄養が足りていないことが一目瞭然です。
前列、左から順に、ジャンレ(9歳)、マイケル(7歳)、ジャンジャン(6歳)です。
ジャンレはルベンに、ジャンジャンはレナンにそっくりです。
そしてマイケルは、なぜかジョアンにそっくりだとスタッフたちの間で評判です。
これからこの子たちがHOJでどんな笑顔になっていくのか、どう成長していくのか、
そして、この子たちが来たことでレオやホセたちがどう「お兄ちゃん」として成長していくのか、
今からとても楽しみです!
今回の旅には同行しなかったレナンも、3人の弟がHOJに来て大喜びです!
実はレナンは近々、他の施設への移動が決まっています。
せっかく兄弟が再会したのに…と思いますが、福祉局の指示もあり、
知的障害や学習障害のある子を指導する専門家のいる施設にいったほうが
レナン自身の将来のためになる、という判断です。
兄弟4人が一緒にいられるこれからの数日間を、楽しい思い出いっぱいにしてあげたいと思います!
アビゲルたちがお母さんのもとに帰る…ついにこの日がやってきました!
本当に待ちわびた、そして、ある意味恐れていた日です。
車にスタッフと6人兄弟、総勢15人も乗り込んでお母さんが住んでいる「バガンガ」という町へ!
ミンダナオ島の東海岸部にある町で、HOJからは車で3時間以上かかる場所です。
太平洋側に面しているので、HOJのそばの海とは風景が全然違って、異国に来た雰囲気です。
町の福祉局でお母さんと会い、ソーシャルワーカーを交えて正式な話し合いをし、
アビゲル、アンジェロ、シエラ、アイアンの4人がお母さんの元に帰ることになりました!
ロウィーとジョリーナは夏休みだけ一緒に過ごして、6月からはまたHOJに戻ることにしました。
このまま実家に戻ったら弟たちの面倒を見たり、親の仕事を手伝ったりしなければならなくなり、
ちゃんと学校に通えなくなってしまう懸念が大きいからです。
この1年間、まさにHOJのアイドルだったアビゲル。この子がいない日々の寂しさは言葉にしようがありません。
でも、一緒に暮らせることになって本当に喜んでいる母と子の姿を見れば、これで良かったのだと思います。
アンジェロも本当に人懐っこい、かわいい子でした。
こんなにおいしそうにご飯を食べる子はこれからもなかなか現れないかもしれません。
シエラはジェリカとジョイジョイという親友に囲まれて、本当に楽しい1年をHOJで過ごしました。
気が強くてしょっちゅう周りの子とケンカしていましたが、翌日にはスパッと水に流せる、きっぷのいい子でした。
アイアンは学校をさぼりがちで、スタッフたちからは問題児扱いされることが多かったですが、
ものすごく絵が上手で、HOJにいた間に、本当にたくさん一緒に絵を描きました。
その絵を母親に「これ僕が描いたんだよ!」と自慢げに見せている姿を見て、胸が熱くなりました。
なにしろ片道3時間以上、車で行くとガソリン代が2500ペソ(約7000円)もかかる場所なので、
そう頻繁には行けませんが、今後もぜひとも、この子たちの成長は見守りたいと思います。
「ガソリン代は出すのでアビゲルたちに会いに行きたいです!」という滞在希望の方、大募集ですよ!
さて、この旅は実はこれだけではありません。続きがあるんです。その話はまた明日!
2003年に1歳でHOJにやってきたジョアンも、ついにHOJを卒業することになりました!
HOJで暮らすこと12年。その成長こそが、HOJそのものの価値と言っても過言ではありません。
まったく笑わない子だったジョアンは、HOJに来てから半年以上かかってようやく笑うようになりました。
普通なら親に微笑みかけられることで覚える「笑顔」を、ジョアンはHOJでこどもたちから学んだんです。
HOJで物心がついているので、幼いころは実家に全く親近感を覚えることができず、
夏休みなどに短期間だけ実家に連れていくだけでも泣き叫んで大変でした。
でも、実家との交流を12年間根気よく続けてきた結果、ついにジョアンは笑顔で実家に帰れるようになりました。
本当に長い期間を必要としましたが、「もうこの子は笑わないかもしれない」と言われた子が、
ここまでこれたということを、HOJは誇りにしたいと思います。
そう遠くない場所で暮らしているので、今後もHOJの奨学生としてハイスクールに通い続ける予定です。
今後の成長にもご期待ください!
そしてジョイジョイ。2013年に、一足先にHOJに入っていた姉のクリスティンが、
学校まで山を歩いて2時間近くかけて通っている妹を、HOJに入れてほしいと頼んできたことから、
ジョイジョイはHOJにやってきました。全財産はサンダルとビニール袋ひとつの着替えだけ…。
電気もない山の上で大きく歳の離れたお姉さんと住んでいたジョイジョイは、
はじめは同年代の子たちとの遊び方も分からないほどでした。
それが、HOJで2年間暮らすうちにどんどん元気になり、周りの子とも仲良くなりました。
特に歳の近いジェリカ、シエラとは親友以上の絆で結ばれていて、
遊ぶのも、眠るのも、学校をさぼって叱られるのも、家出するのも(笑)一緒でした。
マニラに出稼ぎに行ったきり戻ってこなかったお母さんが去年見つかり、
ようやくジョイジョイを引き取る準備ができたということで、実家に戻ることになりました。
アナマリスたちとは従妹同士で、すぐそばに住んでいるので、
これからも多くの兄弟、従姉妹たちに囲まれて、楽しく暮らしていけることでしょう。
毎日少しずつ寂しくなっていくHOJですが、いつか「孤児院からこどもが1人もいなくなる日」が来ることが、
一番いいことであるのは言うまでもありません。
そうなったら私も晴れて無職です。(笑)
いつかその日が来ることを祈りつつ、食べていける技能を磨くことを怠らずにいようと思います。