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    子供と一緒にHOJに行く! ~リスクの取り方について~

    去年の8月に小学生のこどもたちを連れてHOJに遊びにきてくれた加藤さんが、
    ISIL関連のニュースで「今の時期の海外旅行は危険なのでは?」という不安に対して、
    コメントを寄せてくださいました。少し長いですが、全文こちらに掲載させていただきます。
    HOJへの渡航を考えている方、ぜひ読んでください。
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     IS=イスラミック・ステイトによるテロで、世界中が暴力の恐怖に覆われています。ミンダナオ島にあるHOJにも、滞在を見送るなどの影響が出ていることをHOJのホームページで知りました。私ども家族は昨夏、小学2年生と5年生の女の子を連れてHOJを訪れる前に、渡航の安全について考えました。もちろん、去年の8月と現在(2015年2月)とでは、状況は違っています。でも、安全についての情報を手に入れる方法、そして、リスクについてどう考え、行く行かないを決めるのか、その過程は同じだと思います。これから子供と一緒にHOJに出かけようと考えていらっしゃる方々の参考になればと思い、私たちの経験を書きます。この文章は「だから安全だ」とか「だから危ない」という結論を出すものではありません。「リスクを取る」ということはどういうことなのかを、私たち家族が2014年の夏にHOJに行くときに調べたこと、その結果をどう受け止め、どのような選択をしたのか、そして何を学べたのかを記すことで、参考にしていただけたらと思います。

     私たちにとって、子供たちを連れてフィリピンに出かけるという体験は初めてのことでした(個人的には中東も含めて10カ国以上訪れています)。その時、フィリピンという国に持っていたイメージとしては、良いものは「ホスピタリティがある」「海がきれい」といったもの。悪いイメージは「銃社会」というものでした。小さい子供を連れていくことに不安が無かったかというと、「漠然とした不安」がありました。

     海外に出かける人の多くがしていると思いますが、最初に調べたことは外務省の海外安全ホームページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/を見ることでした。このHPには、各国に渡航する際の安全評価が5段階で表示されています。HOJのある場所は「渡航の是非を検討してください」という表記、ちょうど真ん中になります。この情報だけでは判断ができませんでした。なぜなら、もっとミクロな目で見てみれば、安全とされているアメリカだって場所や時間によっては危険です。日本だって危険な場所はあります。この情報からは不安が減りも増えもしませんでした。(だからといって役に立たないということではありません。必ず参考にしてください)
     次にしたことは、実際にフィリピンに住んでいる方のブログを検索することでした。フィリピン、ダバオ、マニラ、ミンダナオ、など、関連するキーワードを入れてヒットするブログを見つけ、新しい記事を中心にほぼ全てを読みました。そういった記事からは、現地で暮らしている人の肌感覚が伝わってきます。ダバオだけでなく、マニラ、セブなどに住んでいる人のブログも参考にしました。

     過去のニュースも調べました。首都のマニラでも日本人が被害に遭っているケースもあります。いろいろなことが分かるにつれ、フィリピンの国民性や歴史、日本との関わりについても調べることになりました。特にダバオでは、マニラ麻に関連して日本との関わりが深いこと、日本人に対してどんなイメージを持っている人が多いのかも、ネットから知り得る範囲で情報を手に入れました。また、同じミンダナオ島で活動しているNGO「ミンダナオ子ども図書館」のHP(http://www.edit.ne.jp/~mindanao/mindanews)は、最も参考になったサイトです。紛争地域で活動されているので、生きた情報があります。どんな過激派が存在しているのか、これまでどのような紛争があったのか、現地の人はどのような点に気をつけているのか、などを知ることができました。また、自分たち家族は、どのような気持ちで現地に行くのか、改めて考えさせられました。ちなみに、このサイトをみると、日本にいては想像できないことが、実際に世界で起きていることに気付かされます。子供たちが高校生くらいになり、自分で考えて「訪問したい」と言ったら、「行っておいで」と背中を押せる親でありたいと思っています。

     話が逸れてしまいましたが、こうして、子供を連れていくにあたって自分ができる最大限の努力をしました。これをしたことで、最初に持っていた「漠然とした不安」は無くなりました。

     今思えば、不安の中身は二つあったと思います。一つは「無知によって生み出される不安」。もう一つは「本当のリスク」です。

     「本当のリスク」が見えてきたところで、その評価をすることができるようになりました。具体的には、こんな想像をしました。日本で子供達と1週間以上、例えば山に行ったり海に行くなどした場合には、登山中にスズメバチに刺されるかもしれませんし、滑落する危険もあります。移動中に交通事故にあうかもしれません。フィリピンに行くことと日本で休暇を過ごすことの、どちらのリスクが高いかは人によって判断が分かれるところだと思います。
     次に、こう考えました。将来、子供たちがまったくリスクが無い世界で生きていくことは無いでしょう。日本にいても事件に巻き込まれることがあります。ならば、海外で考えられるリスクというものを肌で感じる経験をさせておきたいと思いました。それは日本でも役に立つことだと思いますし、親無きあとは子供は1人でリスクに向き合わなくてはなりません。いつ経験させるの?今でしょ!そう思いました。
     実際にHOJに行ってみて、マニラの空港ではライフルを持った人が、旅行者の安全に気を配っていたり、ダバオからHOJまでの移動の最中に、やはり同じように銃を持った人が検問をしている光景を目にしました。子供たちが何を感じ、学んだのかはわかりませんが、「銃=怖い」ということは無かったようで、HOJ滞在中にも怖いと感じたことはまったく無かったそうです。一方で、日本に帰ってきてから、大阪のとある地域に社会勉強のために連れて行った時には「怖かった」と口にしました。銃などの目に見える怖さではなく、その場の空気、雰囲気を感じることができるようになったのだと思います。

     来年の夏休み、私たちは、また子供を連れてHOJに行きたいと考えています。「なんの迷いもなく行けるか」と問われれば、「わからない」というのが今の答えです。それはIsramic Stateによるテロが発生したからではありません。常に世の中が動いているからです。これから夏までの間に、世界各地で起きることに気を配り、その関連性を想像し、去年の夏と同じように、行く直前まで情報を集めて判断すると思います。
     最後に、親として、そのような感覚が身についたこともHOJに行くことで得られたものだと思っています。HOJとそこで暮らす皆のことを考えることが、自分のみならず多くの人にとっての安全に繋がるものだとも考えるようになりました。そして具体的に何ができるのかについても思い描くようになりました。
     リスクをどう見るか?どんな情報を集めるか、そして、どのような選択をするか・・・HOJで過ごす子供たちの笑顔が目に浮かびます。喧嘩している子供もいることでしょう。そしてご飯をみんなで食べていることでしょう。HOJではきょうも日常生活が送られています。

    HOJビジター(2014年8月) 加藤篤

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