今日は私がワクチン接種に行ってきました。
本当なら順番はまだ先なんですが、登録されている高齢者の方々が、
体調不良で受けられなかったり、直前に怖くなって会場に来なかったりする事例が結構あり、
ワクチンが一度冷凍保管されているケースから出すと戻せないので
近隣の「エッセンシャルワーカー」に連絡が行くというシステムになってまして、
本当に他に受けたい人いないの?と何度も念押しした上で、受けることにしました。
割と珍しい体験談だと思うので、以下、それなりに詳しくお伝えします。
小学校が接種会場になっており、接種を受ける人たちがそこでまずは文書に記入をします。
集まっているのは主に高齢者ですが、やはりキャンセルが多かったようで、
呼ばれて急いで来た、みたいな学校の先生や、商店経営者なども交じってました。
やはりこういうときに、ちゃんとした情報ソースを持っている人は強いですね。
文書は「ワクチンを受けることの同意書」みたいな感じで、
「副反応はゼロではないことを了承の上で、自分の意思で受けます」という誓約書のようなものです。
ちゃんといざという時の治療はすべて社会保険が適用されると記載されていて、しっかりしてます。
ただ、これ、全部英語で書いてあって、漁村から出てきたおばあちゃんとかには難しそうです。
そして次のステップが「エンコード」。
記入した紙を持って列に並び、係の人がそれをPCに入力するという作業です。
PC操作に慣れていない人がほとんどなことを考えれば、
「紙に記入させてからそれを係員が入力する」のはあながち二度手間ともいえない、最適解かもしれません。
そしてエンコードを終えると「ガイダンス」です。
学校が会場なので、10人ごとに教室に集められ、そこで「ワクチンとは何か」の説明を受けます。
これがビサイヤ語で行われ、田舎の学歴などのない人でも分かりやすいように
比喩をうまく使って丁寧に説明されていて感心しました。
説明してくれていた人は町の助産師さんで、なるほど、普段から
「医学的な知識のない人に医学の説明をする」ことに長けているわけです、適材適所ですね。
その後、身長、体重、血圧を測った上で、お医者さんとの3~5分くらいの問診があります。
去年、HOJのこどもたちの健康診断をやってくれたお医者さんだったので
「あらー!ひさしぶり!元気にしてた?病院で全然見ないってことは、元気なのよね?」と盛り上がりました。
私の割とマニアックなワクチンについての質問にも、ちゃんと「わかる範囲で」答えてくれて
ああ、知らないことはちゃんと知らないと言える人のことは信頼できるな、と思いました。
お医者さんも太鼓判を押す超健康体なので、その後、私はスムーズに接種会場へ。
ちなみに血圧が高すぎたり、現在他の薬を服用中だったりする人はここで止められるので、
それでワクチンに余りが出たりする、というわけなんですね。
接種は筋肉注射なので医師ではなく、看護師さんがやってくれます。
啓蒙活動のために「接種してるところの写真を撮ってSNSにアップする」のが推奨されている、とのことで、
カメラを持ってると言ったら、会場の人が写真を撮ってくれました。(笑)
接種後はその人の健康状態に合わせて緑、黄色、赤などの紙が貼られ、
私は一番健康体の緑だったので、緑の人用の部屋で30分間待機して、
アナフィキラシーショックなどの副反応が起きないことを確認します。
ちなみに緑の部屋はドーナツと給水機が置いてあって「ご自由にどうぞ!」みたいな感じで
おしゃべりしながらのゆるーい待合室って感じだったんですが、
黄色の部屋をのぞいたら、1時間半の待機だそうで、もっと殺伐とした雰囲気でした。
やはり身体を健康に保っておくことは重要ですね。
さあ、終わった、帰ろうと思ったら「記念撮影があるからこっちにこい」と言われまして、
でっかい注射器を持って「ワクチン受けよう!」みたいな看板の前で写真を撮られました。(笑)
なんでも田舎ではSNSなどを中心に「ワクチンを受けるとゾンビになる」などという
根も葉もない噂が飛び交っていて、それを真に受けて接種をためらう人も多いんだそうで。
こうやって「ワクチンは怖くないよ!」という発信をすることは、結構大事なことなんです。
そんなわけで私はアストラゼネカ製のワクチンの1回目の接種を終えました。
やってみた感想は「思った以上にすごくしっかりしている」ことです。
もちろん日本だったらこれはないだろうな、というツッコミどころは満載でしたが、
フィリピンの田舎で、なるべく早くに必要な人たちに接種を進めていくのには
十分すぎるというか、極めて公正で公平でまっとうなシステムになっていると思いました。
あらためて、寝る間も惜しんでワクチン開発に注力してくれた研究者の方々、
そこに大量の金額を投入してくれた方々、ワクチン確保に努力してくれた政治家の方々、
そのワクチンを1本でも無駄にしないようにがんばっている現場の方々に
心から感謝したいと思います。ありがとう人類。がんばれ人類!