出張最終日は、戦争で離ればなれになってしまった親族を探すために日本から来た方に同行しました。
80年以上前の記憶を頼りに、たぶんここだと思う、という海や、家があった場所を巡りました。
なかなか有益な情報が得られないまま、地元の役所へ。
「ひょっとすると役所に書類が残っているかもしれない」とのことですが、
つい数年前に生まれたこどもたちの出生証明書でさえ、紛失していて見つからないようなことがよくあるのが、
フィリピンの田舎の役所です。私はたぶん無理だろうと思いながらも、立場は「通訳」ですから、意見は言わずに同行しました。
最初は怪訝な顔をしていた役所のスタッフたちですが、
「この人は日本人なんだけど、この町で戦前に生まれてるんだ。
で、この人は日本に帰れたんだけど、弟さんや妹さんはこっちに取り残されたんだ。
昔この町に住んでたことは間違いないんだけど、ご本人や、きょうだいの書類って残ってないですかね?」と事情を説明すると、
「え?この人が?本人なの?え?何歳?え?90歳越えてるの!本当に?」と興味津々。スタッフ総出で大捜索が始まりました。