昨日から1泊2日でダバオの「ゴミ山」での支援活動を見に行きました。
マニラの「スモーキーマウンテン」が国際的に注目され、問題視された90年代の終わりに、
フィリピンでは「ゴミを燃やすことを禁止する法律」を作ったので、
それ以来、ゴミは各都市で「ただ集めて埋める」ことになりました。
ダバオでは町から40分ほど西南の方向に行った山間の地域がゴミ捨て場として選定され、
ダバオの人口160万人ぶんのゴミが毎日、ダンプトラック70台分、ここに捨てられています。
写真1:20年かけて集まったゴミはもはや埋めることができず、山になっている
ただ積まれたゴミは、いつ崩れるか分かりませんし、リチウム電池などからの発火による火災のリスク、
雨によって漏れ出る有害な水のリスク、いろいろな廃液が混ざることによって発生する有毒ガスのリスク
などがあるため、近隣に住むことは禁止されているんですが、
元々住んでいた人たちで、立ち退き料もなしには引っ越せない人たちがそこに残っただけでなく、
このゴミ山を「宝の山」として集まって来る人たちもいて、現実にはゴミ山のすぐ周りに、約350世帯が住んでいます。
写真2:ゴミ山の中腹に見えるのは家ではなく作業小屋
そこに住む人たちの生業は主に「ゴミの中からお金になるものを集めること」。
プラスチック、カン、ビンなどの資源ごみはもちろん、まだ着れる服、まだ使える電化製品、
まだ使えるオモチャなど、とにかく使えるものをゴミ山から探します。
稀に1000ペソ札などの現金や、貴金属などが見つかることもあるそうで、
35万ペソ(約90万円)の純金時計が見つかったことがあるというのが、語り草になっています。
写真3:ここから先は長靴などの装備がないと危なくて入れない
その一方で人体の一部が見つかったり、箱に入れられた赤子の遺体が見つかったりすることもあったり、
ガラスや尖った金属でケガをしたり、ひどい場合には使用済みの注射器などでケガをする場合があり、
深刻な病気になったりするリスクもあります。
写真4:「立ち入り禁止」のゴミ山と居住区を隔てる壁には大きな穴が空いていて出入りは実質自由
ですが、この仕事には「一攫千金」の魅力があるらしく、一度慣れたらやめられない、
ギャンブルに似た要素がある感じがしました。
「最貧困層の人たちがここに住むことを余儀なくされている」というよりは、
「この生活に適応してたくましく暮らしている」という感じです。
でもそれは、ここで住むことをある意味で「選択」している大人の話であって、
ここに住む約700人のこどもたちには、ここに住む以外の選択肢はありません。
明日は、その「こどもたち」に焦点を当てて、この話を続けたいと思います。