フィリピンの元大統領、ドゥテルテ氏が逮捕されました。
「犯罪者はぶっ殺せば治安が良くなる!俺はそれでダバオ市を平和にした!
俺が大統領になったら国中で同じことをやってやる!」と言って選挙に受かった2016年。
実際に国中で「超法規的殺人」を奨励・容認することで違法薬物の売人などを
片っ端から「始末」していき、その数は就任後半年で6000人以上と言われています。
もちろん人権もフィリピンの法律も国際的な常識も飛び越えた言動なので、
長らくフィリピン国内のリベラルな層や、国際的な人権団体から非難されており、
本人も「捕まえられるなら捕まえてみろ!」という態度でしたが、
このたび、ICC(国際刑事裁判所)から逮捕状が出たことで、逮捕に至りました。
違法薬物が横行する大都市などで暮らしている人たちには、「彼のおかげで治安が良くなった」
と、実感を持って語る人も多いので、依然として彼を擁護する声は強いです。
私のフェイスブックの友人たちも軒並み、彼を擁護する発言をしています。
(写真は本日16:00に広場に集まってロウソクを灯して彼のために祈ろう!という投稿)
ただ、私自身はあまり彼のやり方を手放しでほめる気にはなりません。
さまざまな人の正義がぶつかり合い、時に暴走する社会を、少しでもマシにするために、
人類は血を流しながらなんとか「法治主義」に辿りついたのですから。
(漫画「ボニファシオ」、左は第6話、右は第2話より)
この国をスペインから独立させようとした若者たちの漫画を描きながら、
彼らがいかに「法的な手続き」にこだわっていたかを、痛感しています。
新しく公開された第十話では、いよいよ主人公であるボニファシオと、
もう一人の主人公であるアギナルドが再会し、それぞれの道を歩んでいくことになります。
真剣にこの国を独立させようとした彼らのことを思いながら、
フィリピンの現在のニュースをもう一度読んでみてください。
彼らが命がけで作ろうとした国の大統領に、ふさわしい人が選ばれることを切に祈ります。